野球を始めたばかりのとき、多くの人がまず聞かれるのは「君は右打ち?左打ち?」という質問です。
軽い会話のように聞こえますが、この選択は走塁・打撃の成績に影響します。特に左打者は一塁に近いため、内野安打や盗塁のチャンスが増えやすい傾向があります。
私がこれまで指導者や選手と話してきて感じるのは、右か左かの選び方を早い段階で理解しておくことは、野球人生のスタートラインをより有利にできるということです。
この記事では、複数の信頼できる情報を元に、右打ち・左打ちの違いと適性の見極め方、有利不利まで丁寧に解説します。さらに、図解と比較表を使って「自分はどっちが向いているのか」をイメージできるようにしました。
記事のポイント
- 右打ち・左打ちの基本的な違いを図解で理解できる
- 利き手・利き目・足の速さから適性を見極める方法がわかる
- 右投げ左打ちが多い例と、その理由やプロでの活用事例を知る
- 比較表で自分のスタイルに合った打席を選べる
野球の右打ち・左打ちの決め方と特徴を理解する

図解|右打ちと左打ちの立ち位置の違い

- 右打ち:三塁側に立つ(投手から見て右)
- 左打ち:一塁側に立つ(投手から見て左)
例えば、草野球で初めて打席に立つとき、右打ちの人は三塁ベースが近くに見える位置に立つことになります。左打ちは逆に、一塁ベースがすぐ近くに見えます。これだけでも、走り出す距離の差を実感できるでしょう。
野球での右打ちと左打ち、それぞれの基本的な違いと見分け方
右打ちは利き腕の押し込み力を活かしやすく、特に外野の深い位置への打球を狙いやすい傾向があります。
左打ちは一塁が近く、打球を引っ掛けても内野安打になる確率が高いです。高校野球の俊足選手が左打ちに挑戦することが多いのは、この距離的な利点を活かすためです。
右打ち・左打ちの適性を判断するためのチェックポイント
判定要素 | 右打ち向き | 左打ち向き |
---|---|---|
利き目 | 右目 | 左目 |
足の速さ | 普通〜遅い | 速い |
パワー型 or 俊足型 | パワー型 | 俊足型 |
投手との相性 | 左投手有利 | 右投手有利 |
中学野球の選手A君は、右投げ右打ちから左打ちに転向しました。理由は50m走で6秒台前半という俊足を活かしたかったからです。結果、出塁率が1割近く向上し、盗塁数も倍になりました。
利き目の簡単な判定法
- 親指と人差し指で小さな三角形を作る
- 遠くの一点を三角形の中に入れて両目で見る
- 片目ずつ閉じて、位置がずれない方が利き目
右利きでも左目が利き目であれば、左打ちの方がボールの出所を捉えやすいこともあります。ただし、研究では利き目と打撃成績に一貫した有意差は確認されていません。
右打ち・左打ちの決め方と有利不利の考え方

比較表|右打ちと左打ちのメリット・デメリット
右打ち | 左打ち | |
---|---|---|
メリット | 飛距離を出しやすい傾向 / 右方向に強打しやすい | 一塁が近く内野安打が増える / 右投手に有利 / 盗塁しやすい |
デメリット | 一塁までが遠い / 俊足を活かしづらい | 左投手にやや不利 |
※守備位置の制限は打席の左右ではなく投げ手の利き腕による影響が大きいため、この比較表からは削除しています。
右投げ左打ちが多い例とその理由
NPBでも「右投げ左打ち」が比較的多く見られ、あるシーズンでは最も多い組み合わせだった例があります。理由は以下の通りです。
- 一塁に近く内野安打の確率が上がる
- 右投げによる強い右腕を引き手にできる(経験則)
- 右投手との対戦で視界的に有利(プラトーン効果)
イチロー選手が内野ゴロを放っても一塁でセーフになる瞬間を思い出してください。ほんの一歩の差ですが、これが右打ちと左打ちの走塁距離の差なのです。
プロ選手の事例
- イチロー(右投げ左打ち):俊足とバットコントロールを最大限活用。MLBで推定694本の内野安打を記録。
- 大谷翔平(右投げ左打ち):2023年にOPS1.066でア・リーグ1位。長打力と俊足を兼ね備える。
- 松井秀喜(右投げ左打ち):巨人時代からメジャーまで、広角に打ち分ける技術を披露。
右打ち・左打ちの決め方まとめ|あなたに合う打席の選び方
最終的には「どちらが打ちやすいか」「自分の武器を活かせるか」が決め手です。
両方試して、練習での成績・感覚・疲労度を記録すると、より納得のいく選択ができます。
例えば、社会人野球のB選手は、入団後に左打ちへ変更。最初は打率が落ちましたが、半年後には盗塁王を獲得しました。「走塁を活かすために選んだ左打ちが、自分の野球を変えた」と語っていました。
野球は、打席に立つ瞬間から戦術が始まっています。あなたが選んだ打席が、次の一打をどう変えるのか――その答えはきっと、試合の中で見えてくるでしょう。
本記事の参考・参照元
バッターボックスの左右位置(右打ち・左打ちの定義)
MLB Glossary – Batter’s Box
https://www.mlb.com/glossary/rules/batters-box
左打者の一塁到達タイム優位(走力差)
NSCAジャパン – 左打者の一塁到達時間について
https://www.nsca-japan.or.jp/journal/202002/baserunning/
左打者の内野安打モデル(SABR研究)
Society for American Baseball Research – Infield hit analysis
https://sabr.org/research/infield-hit-analysis/
利き目と打撃成績に関する研究
Laby, D. M., et al. “The effect of ocular dominance on baseball batting performance.”
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/9556565/
プラトーン効果(左打者vs右投手が有利)
Wikipedia – Platoon Advantage
https://en.wikipedia.org/wiki/Platoon_advantage
右投げ左打ちが多い例(NPBデータ)
日刊スポーツ – 右投げ左打ちの傾向
https://www.nikkansports.com/premium/baseball/news/202209120000373.html
イチローの内野安打数(MLB公式推定694本)
MLB.com – Ichiro Suzuki’s career stats and milestones
https://www.mlb.com/news/ichiro-suzuki-infield-hits
大谷翔平のOPS(2023年AL1位)
MLB.com – Shohei Ohtani 2023 season stats
https://www.mlb.com/player/shohei-ohtani-660271
他にも野球についての記事を書いています。
よかったら見ていってください。